satoryuの日記

忘れっぽいから覚えてるうちに書いておかないと。

Agile PBL祭りに行ってきた。 #agilepbl

個人スポンサーとしてエントリーしていたAgile PBL祭りに参加してきた。

agilepbl.com agilepbl.connpass.com

個人スポンサーした経緯についてはこちら。 satoryu.github.io

Twitterで一時トレンド入りした #agilepbl のまとめ togetter.com

北は北海道、南は沖縄から、プロジェクトベースドラーニング(PBL)でこの1年間チーム開発をしてきた学生の方々の発表とブースでのデモを拝見させてもらった。 「祭り」という名にふさわしく、ブースの準備段階からすでに賑やかな雰囲気が出ており、「楽しい」雰囲気で会場が終始満ち溢れていたように感じた。

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プレゼンがとてもうまく、デモも楽しそうにプロダクトを見せてくれた。 いずれのチームも話を聴いていると、プロダクトで解決したい課題が、メンバー自身が当事者であるということが共通していた。 「こういうものがあると便利そう」といったものではなく、自分たち自身でプロダクト自体を評価できるので、どのチームも自分たち自身で使う、ということを当たり前のようにやっていた。 なぜそこにこのボタンがあるのか、など聞いていっても、どういうシチュエーションでどういうことのためなのか具体的に説明してくれるチームばかり。 そんな人、なかなか開発の現場で見たことないぞ… 良いものを想像して作ることをあたかもすごいことだと思っていたりするPOやステークホルダーがいたりする。 「きっとこういう人がいて、こういうシチュエーションがもしあったら」という前提条件ばかりが多すぎて、作る意味があるのかがわからない。検証するにも、そういうユーザーがいるのかどうかも探しづらいような状況がある。 きっと、彼らは自分たちで色々試せる環境を作れたのだろうな。とても素晴らしい。 あるチームのデモブースでプロダクトを見せてもらった時、「実際に彼(PO)が普段使っているんです」と聞いて、素晴らしすぎると思った。 え?当事者じゃないですか。

懇親会で学生と話を聞いていると、始めからチーム開発をやりたいという思いはなく、「単位のため」といった学生としては当たり前の目標だったようだ。 けれどもチームで活動をしていく中で、お互いのことがわかるようになり、この活動自体をとても楽しいと思えるようになっていったという。 終いには、「単位もらえなくてもいいから作りきりたい」とか「単位なしで来年も履修したい」とか言っていた。 途中で脱落してしまう学生も何人かいたようだったが、残った学生たちは単位だけでない何か価値を見出したんだろうな。 話の中で、「グループからチームになれた」といったことがサラッと出てきた。 チームで意見が対立していても、プロダクトを良くしたいという同じ想いが共有できてたので、安心して意見をぶつけ合えていた。って言ってた。え、ちょっと待って、それって最近悲しくもバズワード入りしちゃった心理的安全性さんの本来の姿ですよね? きっと彼らが得た単位以外のものの1つは、チームなんだろう。 そりゃ、楽しいだろうな。

懇親会では、昨年度の履修生で今年度はTAと今年度の履修生とで話をしているのを近くで聞いていた。 今年度のチームでの活動の中で感じたことを今年度の学生が語ると、それについて大きく頷くTA。 良い授業が再現されていることがここで証明されている気がした。 TAになった彼は、チームでの活動が楽しくて、今度はそんなチームを支援する側に立ちたかったらしい。 その話を今度は履修生が大きく頷く。 この世代交代の流れ、もしかして無限に続けられるのでは?

日中のプレゼンやデモブースもそうだったんだけど、懇親会会場*1の風景を見ていると、どこに先生がいるのかわからないくらいに溶け込んでいた。 PBLは、作り固められた授業のコンテンツを提供するようなことは難しいので、先生たちの中にも試行錯誤がたくさんあったのだと思う。 その都度、先生たち自身が悩んでいる場面を学生たちの前で見せていたようだ。 それを見て、授業を良くするための意見を言うと先生たちは聞いてくれる。 その経験が学生たちにとって新しい体験だったようで、自分の授業を良くするということを考えた、なんてことを教えてくれた。 学生が先生と同じ目線に立って授業を良くすることを考える、ってどんだけ運営すごいの?

残念ながら、それぞれのプロジェクトは終わってしまった。 でも、どのチームの人たちもとても楽しく自分たちのチームのこと、プロダクトのことを語っていた。 「まだ続けたい」という悔しい気持ちを残しつつ終えてしまう。 チーム活動から生まれた関係というのはそうそう崩れるものではないと思うので、また別のプロダクト開発でもプロダクト開発以外でも何かやってみると面白いことになるんじゃないかな、って思う。

残念なことに、enPITというプロジェクトは来年度までということらしい。 なので、このAgile PBL祭りのような場の元になるPBLを実施する土台が来年度で無くなってしまう。 「弊社、アジャイル開発やってます!」って普段言ってるオジサマ・オバサマ達は、この取組が継続できるような支援をしてあげてほしい。 学生のひとたちにとって、どの会社がアジャイル開発をやっているかは知らない。 なので、採用の観点として、この授業を支援することで会社の認知度を上げる、というのはいかがだろうか。 もちろん、金は出すが口は出さないままで。 他にも企業なり自治体なり石油王なりがこの授業を支援するためのアイデアがあったら、ぜひ渡辺先生にお伝えしてほしい。 ちなみに、作ったプロダクトのソースコードなんかは、権利上問題無ければ、ぜひGitHubなどでOSSとして公開してみてはどうだろうか。緩やかに開発を続けるためにも、もしかしたら知らないところで使いたい人が見つかるかもしれないので。

さーて、きっと今頃先生たちはロスってるんだろうな。

*1:そんな大層な場所ではなく、居酒屋のこと